【支援者向け】 対人援助にかかわる人を対象とした講座です
オンライン講座は終了後1週間の録画視聴ができます。
ただし、「対人援助の感性を磨く」は当日の参加者のみが録画視聴できます。
対人援助の感性を磨く
~ホスピス医に学ぶ~
講師: 小澤 竹俊 先生
めぐみ在宅クリニック院長 在宅ホスピス医
「人は痛みを分かってくれると感じた人の前では苦しみを見せることができます。自分と違う人をそのまま『わかる』ことは難しいことですが、『理解者になる』ことはできます。そのためには、自分の価値観を押し付けるのでなく、相手の声に耳を傾けることが必要だと思っています」と小澤先生はおっしゃいます。苦しみを抱える人の理解者になることは簡単なことではありません。本講座ではどのようにしてその方法を身に着けていくか、ワークを通して学びます。
小澤先生はスピリチュアルケアの理論を通して、人の苦しみとはどのようなものか、寄り添って支えるとはどういうことかわかりやすく教えてくださいます。
★ワークを交えた講座ですので、当日ご参加いただける方のみを対象としています。
★当日参加者のみ録画視聴ができます。録画視聴だけのご参加はできません。
発達障害・愛着障害~養育者の心を支える~
講師: 田中 哲 先生 子どもと家族のクリニックやまねこ院長
元東京都立小児総合医療センター副院長 児童精神科医
どんな親でも、子育てをする中で焦りを感じたり、苛立ちが止まらなかったり、つい叱責しては後悔したりすることはあるものです。特に発達障害・愛着障害など育てにくい子どもを持つと、思い通りに育たないことに自信を無くし、必要以上に自分を責め、人に頼れずに周囲から孤立する傾向があります。子どもの心の育ちのためには、子どもの支援と同時に親の心を支えることが大切です。
本講座では、発達障害や愛着障害の専門家で被虐待児支援にも携わっていらっしゃり、子どもだけでなく養育者に対しても温かいまなざしを持つ田中哲先生から、子どもの心の理解と養育者の支援についてお話しいただきます。
オープンダイアローグ 基礎編
オープンダイアローグ 実践編
講師: 森川 すいめい 先生 精神科医・鍼灸師
オープンダイアローグは「開かれた対話」という意味で、フィンランドのケロプダス病院で始まりました。そこでは、この「開かれた対話」を行うことで精神面で困難を抱えた人の8割が回復していると言われています。困難を抱えた人、家族、専門家、支援者などが一同に集まり、丸くなって対話をするというものですが、治療や解決ではなく、目的はただ対話をすることにあります。
オープンダイアローグが対話をするだけなのに何故回復につながるのか、その背景,ベースとなっている考え方、効果や実践方法について森川すいめい先生にお話しいただきます。
森川すいめい先生は、2020年に初めてトレーナー資格を取得した日本人医師2名のうちのお一人です。
★ 基礎編では、オープンダイアローグがどのようなものか教えていただきます。
★実践編では、オープンダイアローグの実際の開き方などを教えていただきます。
マインドフルネス ~セルフコンパッションを育む~
講師: 川野 泰周 先生
RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長 精神科医 禅僧
マインドフルネスは、今この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価せずにとらわれのない状態でただ観ることです。マインドフルネスを実践することで、未来でも過去でもなく、今のありのままの自分に気づき受け容れ、その結果として心や脳を休息させることが出来ます。マインドフルネスによる気づきや受容を高めることは心的外傷後の治癒や成長にもつながります。
また、マインドフルネスはセルフコンパッション(自分にやさしくできる)を高める最良の方法として注目を集めています。自己批判が強いとうつ状態や人生に対する不満をもたらしますが、セルフコンパッションを高めることで肯定的感情、自尊心、社会的繋がり、幸福感が高まるなど、心身の健康増進だけでなく、精神疾患の治療効果も実証されています。
本講座の講師の川野泰周先生は、精神科医でありながら、禅寺で3年半にわたる修行生活を送った禅僧でもあります。マインドフルネスの理論と実践方法を、精神科医としての科学的な視点と仏教的な視点からお話しいただきます。
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依存症
講師: 吉永 陽子 先生
三生会病院院長 精神科医
依存症とは特定の物質や行為・過程に心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることです。アルコール、薬物などの物質依存だけでなく、スマホ、SNS、ゲーム、ギャンブルなどのプロセスへの依存があります。周囲だけでなく当事者自身も自分の意志でやめられるものと思いがちですが、そのような理解では解決にはつながりません。その行為をやめさせることに注目するだけではなく、背景にあるものを探り、支援していくことが大切です。
講師の吉永陽子先生は精神科臨床だけでなく、DVや虐待問題、性教育など幅広い分野にかかわっていらっしゃいます。
傷ついた心のケア
講師: 栗原 幸江 先生
上智大学グリーフケア研究所特任教授 心理療法士 公認心理師
人生の道のりにおいて、人は様々な喪失を体験し、そこにはさまざまな悲嘆反応(グリーフ)があります。喪失体験によって、「これまでのわたし」と「これから」の間に大きな分断が生じてしまった人が、自分の「物語り」を丁寧に紡ぎ直し、その分断に橋を架ける過程が「グリーフワーク」となり、そのグリーフワークの支援となることが「グリーフケア」です。
「グリーフケア」は死別悲嘆に限るものではありませんが、死別悲嘆の研究から得られた知見は、さまざまな喪失悲嘆に相対する私たちに、有用な「地図」を与えてくれます。グリーフケアの概要と基本的な姿勢について、そしてグリーフケアに関わる者のケアについて、取り上げられたらと思います。
栗原 幸江
ブリーフセラピー ~コラボレイティヴに活用するには~
田中 究 先生 関内カウンセリングオフィス代表 臨床心理士
ブリーフセラピーは「本当の原因が何か」「本当の問題は何か」に囚われることなく未来を志向すること、クライアントの能力や資質だけでなく「短所」や「欠点」を尊重すること等を持ち味とする対人援助のアプローチです。ブリーフセラピーに関する諸技法は、関係者との協調関係をあらわす概念「コラボレーション」とあわせて活用することでより効果を発揮しやすくなると考えます。本講義では、ブリーフセラピーを特徴づける方法や事例をご紹介し、それらを現場の実践に結びつけるための「コラボレーションのコツ」についてお話ししたいと思っております。
田中 究
発達障害とトラウマ
講師: 柏 淳 先生
ハートクリニック横浜院長 精神科医
発達障害は広く認知されてきましたが、その特性だけでは理解できない問題にトラウマとの関連があると言われています。 柏先生は「発達障害を抱えた方々の多くがなんらかの強い心の傷を負っており、一部の方では発達特性そのものよりも、むしろこちらのために強い苦悩を抱え、社会参加が制限されています。(中略)なぜ発達障害者がトラウマ関連の課題を抱えることが多いのか、そこには複合的な要因がありそうなのです。(ハートクリニックブログ 横浜院長のひとりごとより)」と仰っています。
発達障害の人が何故トラウマ関連の課題を抱えることが多いのか、フラッシュバックを起こしやすいのか、感覚過敏との関連があるのかなど、その要因やトラウマを抱えた人への支援について、大人の発達障害の方をたくさん診てこられた柏淳先生にお話しいただきます。
非定型うつ病 ~周囲はどう理解・配慮するか~
講師: 柏 淳 先生
ハートクリニック横浜院長 精神科医
非定型うつ病は、一般的なうつ病とは異なり、楽しい出来事に反応して気分が上がる、過食や過眠、身体が鉛のように重く感じる、対人関係に過敏になるといった特徴があります。楽しい出来事に反応して一時的に気分が上がる様子を見ると、周囲から「単なるわがままではないか」と誤解され、病気の理解が得られないことも少なくありません。そのため、周囲の人はどのように接すれば良いのか分からず、対応に苦慮することがあります。
本講座では、非定型うつ病に関する基本的な知識をはじめ、症状の特徴や周囲の対応方法、支援のポイントについて学びます。講師は、患者さんが社会の中で生きる力を支える視点を持ち、若者支援にも幅広く携わる診療を行っている柏淳先生です。
心理面接 〜では実際にどう「きく」のか?〜
講師: 岩倉 拓 先生あざみ野心理オフィス主宰 聖マリアンナ医科大学 臨床心理士
昨年度の「心理面接~見立てと方針~」では心理面接の組み立てについて話しました。実際の心理面接は、対面で話を聴いていく作業になります。面接では「聴く」「聞く」「訊く」という「きく」を駆使しながら面接を行っていきます。今回は、精神分析・力動的な視点で、実際にどのように話をきいていくのかを具体的に私がロールプレイを行い、それについて解説し、参加者からの質問に答えながら、議論を深めていきたいと思います。
カウンセラーの姿勢や心の持ち方、相槌・応答・話し方などの介入について、自己開示や助言はどの程度行うのか?などの実際の面接に基づいて考え、皆さんの仕事や面接に活かせるよう講義を進めていきます。
岩倉 拓
一日目はロールプレイ、二日目が講義の予定です。
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カウンセリングの技法~ケース スーパービジョン~
講師:福島 哲夫 先生 大妻女子大学教授 成城カウンセリングオフィス所長 臨床心理士
カウンセリング(心理療法)には、その人が持つ本来の力を回復したり、成長を促したりする効果があります。一般にカウンセラーは自分のことは話さず積極的な評価をしないで中立な立場で傾聴することが求められますが、場面によってはカウンセラーの自己開示や肯定的な介入がクライエントに効果的な変容をもたらすこともあり、それが人を育む積極的な関わりになることもあるのです。もちろんそれが単なる技法であってはならず、その背景には常にカウンセラーとしての純粋な姿勢を持ち続けることが肝要です。本講座では、事例のスーパービジョンを通して、技法や関わり方について整理していきます。講師は幅広い理論背景と豊富な経験をお持ちで、後進の育成に力を注がれ、また常に臨床家としてあり続ける福島哲夫先生です。
アサーション (対面型1日講座 オンラインではありません)
講師:園田 雅代 先生 創価大学教授 臨床心理士
アサーションとは、自分の考えや気持ちを正直に率直にその場にふさわしく自己表現をすることで、自分も相手も大切にするコミュニケーションです。対人援助にかかわる人は相手の気持ちばかり優先して、自分の気持ちを感じることも伝えることも後回しにしがちですが、本当に言いたいことを言わずにいると、伝わらないだけでなく、我慢が積み重なって無意識のうちに感情的、攻撃的になったりして後味の悪い思いをすることもあります。アサーションは、そのコツを知って練習することで、誰でも身につけることができますので、対人援助にかかわる人には是非身につけていただきたいスキルです。
園田先生はアサーションをご自身で日々実践されて、その素晴らしさをわかりやすく私たちに伝えてくださいます。